2007年09月12日
川俣晶の縁側ソフトウェア技術雑記 total 6686 count

Cでポインタの足し算はできるのにかけ算はできない根拠は何だろう?

Written By: 川俣 晶連絡先

 突然気になって、表題の問い掛けに対して調査。

 JIS X 3010:2003 (ISO/IEC 9899:1999)を根拠に説明すると。

  • "*"は算術型 (arithmetic type)に対して作用する演算子である
  • 算術型は整数型及び浮動小数点型の総称である
  • 型char,符号付き整数型,符号無し整数型,及び列挙型を総称して整数型(integer type)と呼ぶ
  • 実浮動小数点型及び複素数型を総称して浮動小数点型(floating type)と呼ぶ
  • ポインタ型は,被参照型の実体を参照するための値をもつオブジェクトを表す
  • 算術型を参照するポインタ型はあり得るが、それは算術型ではなくポインタ型になる

 つまり、ポインタ型は乗算の対象になりません。

 一方加算の方は以下のような制約を持ちます。

  • 加算の場合,両オペランドが算術型をもつか,又は一方のオペランドがオブジェクト型へのポインタで,もう一方のオペランドの型が整数型でなければならない

 つまり、この制約の範囲内でのみポインタの加算は可能となります。

 つまり、ポインタとポインタの加算はできません。

 しかし、減算の場合はポインタとポインタの減算が許されるので、加算と減算は非対称です。乗算と加算が非対称というだけでなく、加算と減算も非対称です。